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辛子めんたいこは、もともと韓国で親魚のスケトウダラとともに庶民に親しまれていたものです。韓国では、市の立つ日には明太魚の干したものが出回ります。冬になると子を持つことから、それを唐辛子につけて保存へ。いわば冬の風物詩のようなものだったようです。
これを日本風に味つけし、「明太子」と名付けて売り出したのが『ふくや』の創業者である川原俊夫さん。川原さんは、戦前朝鮮半島で食べていた明太子の味が忘れられず、“朝鮮で食べたおいしい辛子めんたいこを、日本人に伝えたい”という思いで、夫婦二人三脚で試作をくりかえしたそうです。そうしてやっと、1949年(昭和24年)1月10日戦後の博多・中洲の地で、明太子は販売されました。その美味しさは時間をへて口コミで広がり、次第に博多名物となったのです。 -
韓国では、スケトウダラのことを「明太(ミョンテ)」といいます。日本人はこれを「メンタイ」と呼び、「タラコ」のことも同じくメンタイと呼んでいました。めんたいこは、「明太」の子だから「明太子」というワケです。
「たらこ」と「めんたいこ」の違いは、一般的に産卵前のメスのスケトウダラの腹からとれた卵を塩漬けしたたものが「(塩)たらこ」。それに、唐辛子を主原料とした調味料などに漬けて熟成させたものを「めんたいこ」「辛子めんたいこ」と呼んでいます。 -
スケトウダラは、タラ科の魚です。スケトウはマダラにくらべて、体は細長く全長60センチ程度。日本海では山口県以北、太平洋側では東北以北、オホーツク海やベーリング海、アラスカまで分布しています。産卵は、一般的に日本近海で2月~4月ごろ、朝鮮近海で12月~2月ごろと言われています。
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明太子は、一腹(ひとはら)、二腹(ふたはら)・・・と数えます。なぜ「ハラ」と数えるかというと、一匹の親魚から二本一組で取り出されるからです。ですから、明太子は二本で、一腹。1本のつもりで勢いよく「ひとはらください!」と注文すると、希望よりも多く注文しててしまうことに・・・。
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辛子めんたいこの原料になる「たらこ」は、ビタミンの含有量がとても高いとされ、ビタミンB1、B2、C、Eも含まれています。ほかにも、辛子めんたいこは唐辛子を加えた調味料に漬けて熟成させるため、唐辛子の成分カプサイシンが脂肪を分解してくれるのです。
また、なんとヨーグルトと同じくらいに乳酸菌が含まれているため、おなかの調子も整えてくれるのだそうです。
といっても、食べすぎにはくれぐれもご注意を・・・! -
辛子めんたいこの名が広く、一般家庭にまで知られるようになったのは、1975年(昭和50年)に山陽新幹線が博多駅まで開業した影響が大きいようです。新幹線の車内販売によって、「博多名物・辛子めんたいこ」として一気に全国へ広がりました。“辛いモノブーム”の追い風も手伝って、急速に普及したそうです。